アンカーポイント「山にあっては山の幸、海にあっては海の幸」と俗に言われますが、先住民にとって「狩猟」は生活の糧であり、文化の伝承でもあります。山と切っても切れない関係がある羅浮里のタイヤル族は、「大自然と平和に共存」することを「gaga(祖先の遺訓)」としています。あるものを用い、欲張って必要以上に獲ったりせず、一切の獲物を祖霊の贈り物と捉えています。羅浮部落猟人学校ではさまざまな体験コースが企画され、狩猟の中に隠れた山林の知恵を示してくれます。
羅浮部落に着いても、慌てて猟場に入ってはいけません。タイヤルの長老がまずはタイヤル語で「清めの儀式」を執り行ってくれます。およそ10〜15分の儀式で、客人を迎え入れるとともに祖霊に平安を祈ります。男たちは「勇士狩猟舞」を踊り、儀式は盛大で厳粛です。獲物を捕らえるには、罠が最も重要です!先ずは地形を調べ、続いて獲物が出沒する場所を観察し、竹、木の葉、石で罠を仕掛けます。「すぐれた狩人は静かに待つことを知っている」のです。気持ちを落ち着けなければ、空手で帰るということになってしまいますよ!当然、適時に攻撃に出るのも正しい戦略です。猟人学校では男女を問わずタイヤル族の手作り弓矢(タイヤルの伝統では、女性は狩猟器具に触れられず、狩猟に関われません)が体験できます。弓の名手になれるかもしれませんよ!
刺激的で珍しい狩猟体験の後は、お待ちかねの先住民風伝統料理です。捕らえたイノシシ、ムササビ、キョンをサクラの木で燻し焼きします。大した調味をせずとも、香ばしくカリッとした肉そのものの味に、誰もが驚くことでしょう!野生味を味わいながら、住民が語る部落特有の「共猟、共食、共享(シェア)文化」に耳を傾けましょう。タイヤル族の男たちは少年の頃から狩猟に加わり、成年礼を通過する能力を養うのです。部落の住民たちは、誰彼の別なく、仕留めた獲物を分け合います。景色の美しさとともに、社会の美しさも際立つこの地です。