アンカーポイント「小米(粟)」に対する知識が、アワ酒の原料だというぐらいなら、それはあまりにももったいない!タイヤル文化における伝統的祭祀の多くがアワと深い関係があるのです。けれども穀物生産が稲作中心に移っていくに従い、伝統文化もじょじょに失われていきました。「小米園区」の成立は、「小米を再び栽培」するだけでなく、「忘れ去られたタイヤル精神を再現」するためなのです。園区では、解説員が小米のあれこれを深く掘り下げて教えてくれます。さらにタイヤル族の伝統儀礼を体験し、自然と共生するタイヤル族の知恵に触れることもでき、たくさんの收穫が得られることでしょう!
あざやかに彩色されたアワ搗き杵と臼のオブジェが見えたら「小米園区」に到着です!一面の畑は小米(粟)のパイロット農地です。後方には伝統建築物展示区があり、どの家にも必ずある穀物倉、外敵の来襲を見張る監視台、鶏舎、豚舎等が並んでいます。多機能展示教室に入ってみましょう。壁は目をひく白黒の幾何学模様で埋め尽くされています。これにはタイヤル族の男女の顔に施された刺青の図案が隠されており、よく見ると口簧琴(口琴)があることにも気づくでしょう!屋内には狩猟道具、竹カゴ、竹笛、カラムシ等タイヤル族の生活用具が展示されています。どれも身近に手に入る材料を用い、簡単ですが、環境をうまく生かした暮らし方を映し出しています。
園区では古法に則り小米を植え付け、一年に一度の収穫を行います。每年1月から7月にかけては小米の栽培期です。冬に焼畑を行い種を播き、夏には穂を積み収穫します。そしてこれから派生した祭典こそが、悠久のタイヤル文化を表しているのです。儀式では長老が祖霊に祈りを捧げ、豊作を祈願します。「小米園区」では、通り一遍の観光とは一味違うガイドツアーも企画しています!腕まくりして小米の脱穀、小米酒作り。オリジナリティを発揮して小米ストラップ作りにチャレンジし、小米づくし料理に舌鼓を打てば、小米が実はこんなにも愉快でおいしい存在だったんだと改めて気づかされるでしょう!每年9月の祖霊祭は、タイヤル族が最も重視する祭典です。タイヤルの人々はその年に収穫した穀物を祖霊に供え、感謝を捧げます。祭典は部落の住民だけが参加できる部分と、観光客も参加できる部分とに分かれているので、機会があったら、祖霊祭の頃に訪れてみましょう。タイヤル文化に触れて、深い感動に満たされるでしょう。
園区では小米の他に、機織の材料となるカラムシも栽培しています。「機織の民」を訪ね、「カラムシで糸を紡ぎ布を織る」工程に理解を深める絶好の機会です!繊維を取り出し、紡いで糸にし、乾燥させて染色し、布に織る。一つ一つの工程におけるこだわりが、連綿と続くタイヤル機織り文化を形作って来たのです。縦横に交錯する花模様は、良い夫に嫁ぎたい、というタイヤル女性の願いを象徴しています。良縁を願って、タイヤルの先住民部落で幸せを織り出してみませんか?