アンカーポイント百吉トンネルが修築されるまで、大溪から角板山、巴陵等の復興区の山間部を抜けるには、ほとんどが百吉遊歩道(旧名石亀坑古道)を通っていました。清代から日本統治時代まで、常に重要な幹線道路だったのです。1944年には百吉トンネルにライトレールが開通し、「百吉林蔭遊歩道」はその役割を終えました。1949年、慈湖は軍事管制区に指定され、それ以降「百吉遊歩道」は神秘のベールに包まれてきました。それは半世紀にも及び、これによりこの区域の自然生態は開発による破壊を免れられたのです。
「百吉遊歩道」では歷史や人文に触れられるだけでなく、豊かな自然の風貌を垣間見ることができます。春から秋にかけては黒翅ホタル、山窓ホタルが見られます。点々と瞬くホタルの光とともに、山林の夜の静寂に浸りましょう。冬に訪れれば、タイワンコノハズク、コジュケイ、ヤマムスメ、ベニサンショウクイ等の鳥達に巡り会えるかもしれません。「百吉遊歩道」は植物も多様です。最も知られているのはアブラギリでしょう。每年初夏の花の頃は「五月雪」と呼ばれるほど、曲がりくねった遊歩道に白い花が散り敷き、ロマンチックな風情を添えてくれます。ツツジ、クロツグ、タマシダ、ヒカゲヘゴ、オオバユーカリ等の木々も繁茂し、クロアゲハ、ジャノメチョウ、タケアカセセリ、ツマムラサキマダラ等のチョウ達がその間をひらひらと舞い踊ります。
全長2.8kmの「百吉林蔭遊歩道」は道幅が広くアスファルト舗装されており、通常の古道のように急でもないので、年齢制限のない初心者向きの遊歩道と言え、親子連れにも適しています。原始林の中でフィトンチッドとマイナスイオンを全身に取り込みながら、ゆったりリラックスして山歩きが楽しめます。遠くに大溪の全景が見晴らせ、広がる視野に思わずため息が漏れるでしょう。「百吉林蔭遊歩道」は「大艽芎古道」、「溪州公園」等にも通じています。